2025年4月2日から5日にかけ、「Governing Across Borders: (Re)imagining People, Place, and Policy 」というテーマのもと、ABS(Association for Borderlands Studies)がアメリカのシアトルにて開催されました。このイベントはWSSA(World Social Science Association)との共催により開催され、国境、ガバナンス、グローバルな課題に関連する重要な問題に取り組む多様な国際的研究者や実務家が一同に集まりました。
この会議にグローバルリスク研究センターのセンター長/教授である岩下明裕と、助教のYesbol Sartayevが参加し、4月3日に行われた「Border Studies and Global Risk」をテーマとしたラウンドテーブルセッションに登壇しました。このラウンドテーブルセッションには、以下の著名な参加者が現代の紛争と地政学的緊張が国境・境界に関するグローバルリスクをどのように再形成しているかについての見識を共有しました。
岩下明裕はモデレーターを務め、地政学的不安定性、環境ストレス要因、権力の変動など、グローバルリスクの包括的な概要を提供しました。
Ha Young-chool教授(ワシントン大学、ヘンリー・M・ジャクソン国際研究所)は、米韓関係における戦争の地政学的影響について、特にロシア・北朝鮮軸のグローバルセキュリティにおける影響力の増大に焦点を当てて議論しました。
Hyunjoo Naomi Chi教授(北海道大学、公共政策大学院)は、北東アジアにおける最近の紛争の移民動向と人道的影響を分析し、国境ガバナンスへの影響を強調しました。
David Wolf教授(北海道大学、スラブ・ユーラシア研究センター)は、北アメリカとアジアにおける国境のセキュリティ化と権威主義的ガバナンスの台頭について比較的な視点を提供しました。
Mikhail Alexseev教授(サンディエゴ州立大学、政治学部)は、直接参加できなかったものの、書面によるご意見を、岩下により共有されました。このメッセージは、ロシアの領土拡張に関する共同研究を要約したもので、国家主義的拡張主義と民族的拡張主義の違い、旧帝国の国境に関する世代間の記憶の影響を強調しました。
Yesbol Sartayevは「戦争と核施設の脆弱性」について、軍事紛争中の核インフラの戦略的および象徴的な標的化に注目し発表しました。また原子力の安全性とセキュリティをグローバルリスクガバナンス戦略に組み込む重要性を強調しました。
このセッションでは、トランプ政権下の最近の政治情勢、ロシア・ウクライナ戦争の進展、原子力施設に関連する原子力の安全性の懸念について、タイムリーな質問が参加者から寄せられ活発な議論が行われました。このラウンドテーブルを通じて、アジア、北アメリカ等の国際的な参加者の間での活発な学術的な交流が促進され、喫緊の国際問題に関する学際的な対話を進めるABSの強いコミットメントを反映したものとなりました。