このイベントは、2024年6月17日に長崎原爆資料館ホールで開催されたルワンダ虐殺30年追悼の祈念式典「Kwibuka 30 in Nagasaki」に続く、長崎とルワンダの協働イベントとして企画されたものです。長崎では原爆投下から80年、ルワンダでは虐殺から31年が経過し、「経験」の変容や風化がみられ、両者は、次世代の社会を担う若者たちに悲劇の経験をいかに引き継いでいくのか、という大きな課題を共有しています。
長崎とルワンダの悲劇は、長崎の若者にとってあまりに非現実的なことであり、自然に受け止めることは難しく、現在と切り離した「過去の出来事」として捉えられる懸念があります。そこで、日常生活で「嫌な人、意見が合わない人とどう折りあいをつけて生きていくのか」を考えることから出発し、平和への関心につなげる方法を試みました。キャッチフレーズは「ひとりで生きる?一緒に生きる?世界がバラバラになりそうな今、みんなで知恵を出しあおう。」としました。
ワークショップは、8月8日のイベント「Peace Campus」の一環として行われ、まずアフリカの争いや平和、調和の特徴について、ガーナ出身の留学生であるシャーロット・ギャンさんを交えて紹介をしました。次に、永遠瑠マリールイズさんがルワンダ虐殺からの教訓について講話を行い、その後に、長崎からの話として、被爆者である宮田隆さんを囲み、体験談を聞くとともに、原爆を投下したアメリカに対する考えについても伺いました。
後半では、参加者が3つのグループに分かれ、講演を踏まえて「意見が合わない人とどう分かりあうか」というテーマで意見を出しあい、模造紙にまとめて発表しました。その結果、「まずは意見を聞いてみる」「相手のことを考える」といった冷静さや共感にもとづく発言があった一方で、「まず無視する」「一対一でなくチームで話し合う」といった戦略的なアイディアも示されました。グループディスカッションの時間は約20分と限られていましたが、さらに時間をかければ、より深めた議論につながったでしょう。
最後に、「キッズゲルニカ」の制作を監修しているゲストのウワーヨ・ティエリーさんから、ルワンダの伝統的なダンスのステップを教えていただき、参加者全員で踊って和やかな雰囲気のうちに終了しました。
今回のテーマに対する答えは一つに集約するわけではありません。子どもたち一人ひとりが対話をとおして平和への考えを育てていくことを、大人たちはいかに後押しできるのか、今後も追究していきたいと思います。
- アフリカを知ろう
- ルワンダの話
- 長崎の話
- グループディスカッション後の発表
- アフリカダンス
【イベント概要】
日 時:2025 年8月8日(金)
場 所:長崎大学文教キャンパス(学生プラザ・文教スカイホールなど)
【当日プログラム】
1 開会挨拶 福浦知葉(主催代表)
2 趣旨説明 佐藤靖明(長崎大学)
3 アフリカを知ろう 佐藤靖明、Charlotte GYAN(長崎大学、ガーナ出身)
4 ルワンダの話 永遠瑠マリールイズ(NPO法人ルワンダの教育を考える会)
5 長崎の話 中村桂子(長崎大学)、宮田隆(被爆者代表)、西山心(長崎大学)、永遠瑠マリールイズ、Charlotte GYAN
6 質疑応答
7 グループディスカッション「意見が合わない人とどうわかりあうか?」
ファシリテーター:森保妙子(長崎大学)
8 ディスカッションの結果の発表
9 アフリカダンス Uwayo Thierry(アーティスト、ルワンダ出身)
主 催:サークル K 長崎、ししのこプロジェクト
共催・協力:長崎大学、多文化社会学部、RECNA(核兵器廃絶研究センター)、グローバルリスク研究センター