第6回CGR研究会では、現代の法的および倫理的課題を理解する枠組みとして、ウルリッヒ・ベックのリスク社会論と刑事捜査におけるAI活用の法的含意に焦点が当てられました。
下記外部リンクより講演の様子をご覧いただけます。
Youtube: https://youtu.be/DypkQuTcD3w
2025年7月18日に開催された本研究会では、長崎大学大学院多文化社会学研究科・多文化社会学部の河村有教先生が講演を行い、刑事訴訟法および人権法を中心としたこれまでの研究経験に基づく知見を共有しました。講演は二つの主要テーマで構成されていました。第一に、社会学者ウルリッヒ・ベックのリスク社会論を紹介し、現代のテクノロジーや環境的リスクが従来の法的枠組みに与える課題を論じました。第二に、AIの法執行利用に関する法的・倫理的課題に言及し、EU AI規制法など欧州の最新規制を紹介しながら、日本においてはGPS追跡やAIツールの規制が不十分である現状を指摘し、より強固な法的手続を整備する必要性を訴えました。本講演は、グローバル化とデジタル化が進展する現代において、公共の安全と人権保障のバランスを取るための法改革の重要性を強調するものでした。
河村先生は、また、多機関による検証を通じて子どもの死亡を防ぐことを目的としたチャイルド・デス・レビュー制度の早急な法制化の必要性を強調しました。河村先生は現在、同制度の法整備に取り組むこども家庭庁の検討会メンバーとしても活動しています。
日時:2025年7月18日(金)15:30~17:30
テーマ:「ウルリッヒ・ベックの『リスク社会論』と法についての一試論―捜査におけるAIの使用と法規制を中心にー」
講師:河村有教准教授(多文化社会学研究科・多文化社会学部)
場所:長崎大学グローバルリスク研究センター