お知らせ

2025.1.15 CGRセミナー「除去土壌問題を巡る社会科学的課題 :多元的公正からの実証的アプローチ」について

2025年1月15日にグローバルリスク研究セミナーとして「除去土壌問題を巡る社会科学的課題:多元的公正からの実証的アプローチ」を総合教育研究棟で開催し、北海道大学文学研究院の大沼進教授に御講演いただきました。東京電力福島第一原子力発電所事故(福島第一原発事故)で環境中に放出された放射性セシウムによって取り除くために行った除染によって生じた除去土壌は原発周辺に設置された中間貯蔵施設に保管されていいます。将来的に除去土壌は福島県外に設置する比較的放射性セシウム濃度が低い土壌を分別し、道路の基盤等に再利用することで、県外に設置される最終処分場に搬出する土壌の量をなるべく減らす(減容)するための技術開発が進められていますが、これについての国民的な理解醸成はまだまだ進んでいません。

当日のセミナーでは、中間除去土壌の再利用、さらには最終処分についての理解醸成に何が必要なのかについて、リスクガバナンスの観点から大沼先生にお話しいただきました。講演で大沼先生は、除去土壌の県外最終処分の問題は、科学技術をめぐる問題というよりもむしろ、社会科学的問題であり、負担を負ってきた/これから負担を負う人々の分配的公正の問題であることを指摘し、このような問題に向き合うために、大沼先生の研究室がこれまで実験やゲーミング等、実証的な方法でアプローチしてきた成果を報告されました。

講演終了後の質疑応答では、経済学部、多文化社会科学部の学部学生から多くの質問がなされ、非常に活発な質疑応答が行われました。